「SPICEバーチャルスタッフ」誕生秘話
グラフィックやWebデザインにとどまらず、3DCGやモーションキャプチャーなど幅広い業務領域を持つスパイス。そのクリエイティブ力や技術力の結晶とも言えるサービスが「SPICEバーチャルスタッフ」です。2024年7月にリリースされた本サービスは、同月に開催された第4回XR総合展にて多くのお客様の興味を引き、テレビ局からも取材されるなど世間からの注目を集めました。導入に関するお問い合わせも多くいただき、昨今のデジタルツインやバーチャルヒューマンに対する関心の高まりを感じています。
今回はそんな「SPICEバーチャルスタッフ」が生まれた背景や、実際にサービスとして販売されるまでの経緯など、本件に関わった5名の社員に話を聞きました。
「SPICEバーチャルスタッフ」前夜
「YUZU」や対話型AIについて
「SPICEバーチャルヒューマン」開発のお話に入る前に、その前身とも言える「YUZU」という存在についてお聞かせいただけますか。

「SPICEバーチャルヒューマン」のアバターとしても使用されている
一方で、ほぼ同時期に「SPICEバーチャルスタッフ」の特徴でもある対話型AIとの会話についても進行していたと聞きました。

研究開発室の定例会議でアイデア出しをしているのですが、そこでネタの一つとして出したんです。そのタイミングで第四制作室がフェイシャルスキャナー(Lumio3D※)を導入した話を知りました。あと、ちょうど世間的にChatGPTが流行り出した頃だったので、自分のフェイシャルスキャンデータとAIを組み合わせて、自分の分身に対して自分が質問して答えをもらうというデモをつくっていました。

そのデモが発端になって、スパイスが初めて参加したXR総合展に「YUZU」と組み合わせて出そうという話になったんですよ。
※高精細なデジタルツインを制作できる3Dフェイシャルスキャナー。スパイスは正規代理店として取り扱っている。

走り出した「SPICEバーチャルスタッフ」
実現されるまでの道のりとは
AIを搭載した「YUZU」が出展されたのが2023年6月で、そこから同年12月には「バーチャルスタッフ」という名前でプロトタイプを発表していたんですよね。商品化についても、その頃から話があったんですか。

デジタルツインをやろうという話は6月の展示会後にはあがっていて。そこからJ.T.さん含め企画営業部の方々をモデルにして、会話できるキャラクターとして展示会で発表したのが12月でした。その時の打ち上げで、M.H.さんから「これを販売して、広めていきましょうよ」という熱い話があったんですよね(笑)。

そうですね(笑)。そこから商品化するにあたって精査を進めて、最終的には今の通りAI搭載型の音声入力タイプと、AI非搭載のタッチパネルタイプの2種類をつくろうという話になりました。
商品化にあたっては、どのような課題があったのでしょうか。

「SPICEバーチャルスタッフ」は単体のサービスでもあるのですが、アバターとして採用している「YUZU」は、スパイスのクリエイティブ力や技術力が集結した「アイコン」でもあります。さらに開発経緯的にテストマーケティングなども行なっていなかったことから、いきなり販売するのはどうだろうという意見も当初はあがっていました。

営業としては「YUZU」や「SPICE バーチャルスタッフ」について、改めて考える必要がありました。単なる商品以上に、スパイスを世の中に広める広告塔的な存在としての見せ方もしないといけないなと。

「YUZU」の制作は2022年、モーションキャプチャー事業部の技術紹介プロジェクトとしてスタートしました。ちょうど会社でもバーチャルヒューマンの流れが強くなってくるんじゃないか、という話をしていた頃でしたね。
設定に関してはモーションキャプチャー事業部から20代中盤から後半の女性、というお話がありましたよね。ただ造形についてはお任せだったので(笑)、当時人気だった女優さんたちを参考につくっていきました。